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月別アーカイブ: 2016年11月

逡巡する作家|石川淳「普賢/佳人」
石川淳の系譜の小説家は意外と少ない。博覧強記から死生観を前面に押し出し、小説の文体に観念性を重んじながら、なおかつ文体に抑制がある。あくまで私自身の文学性をテーマにしながら、それに寄りかかることをせず自意識を文体化した作 […]
心を整理整頓する。|李相白「悪人」
今回は吉田修一原作の「悪人」を見た。何故って知り合いが見ていたから。私も少し興味があった。彼の小説を原作にした連続ドラマ「平成猿蟹合戦」は結構面白かった。そして彼の小説を読んだことのない私は今回の映画「悪人」を見て特別小 […]
本読みの心をわしづかみする達人|北村薫「八月の六日間」
古今東西素晴らしい作家はいるが、本読みの心をこれほど鷲掴みする小説家を私は知らない。というかいるかも知れないが、これほど自らの文体を抑制して作品を作り続けられる小説家を知らない。そんなことを電車に乗っているとき「八月の六 […]
画家の本懐|山口晃「すゞしろ日記」「すゞしろ日記弐」
会田誠さんの友だちである画家、山口晃さんの日乗を描いた日記である。すゞしろとは大根のことで、春の七草のひとつらしい。漢字が書くと蘿蔔と書く。読めないです。昔は大根のこともおおねと呼んでいて、その後だいこんと読むことになっ […]
主のいる会話|日夏耿之介「風雪の中の対話」
日夏耿之介と言えばポーやワイルドの詩の翻訳で知られている。私が日夏耿之介を知ったのは澁澤龍彦の本を読んでいた時だ。日夏さんのゴシックな翻訳とこだわりの強さ、そして趣味の良さに裏付けされた言葉選びがとても新鮮だったらしい。 […]
されるがままの魂|アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ「レヴァナント 蘇えりし者」
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の「レヴェナント 蘇えりし者」を見た。といっても以前「バードマン(あるいは無知のもたらす予期せぬ奇跡)」も見たがほとんど意味がわからなかった。とりあえずバットマンのコスプレをして […]
遁走小説の系譜|丸谷才一「エホバの顔を避けて」
最近電車の中で丸谷才一著「エホバの顔を避けて」を読んでいる。旧約聖書の登場人物であるヨナを主人公に太陽であるエホバから逃げ続けるヨナの姿をユーモアをもって描いたものである。
読ませていただき光栄です|皆川博子「開かせていただき光栄です-DILATED TO MEET YOU-」
皆川博子の本は今まで読んだことがなかった。何故って、興味がなかったから。ライトな感じがしたから。しかし幻想小説に興味があるなら一度読んでみていいかもしれない、と思って読んでみた。結構面白かったのでそのことについて書いてみ […]
ナンセンスの遊戯|山口雄大「珍游記」
このような映画について特に書くことはない。しかし、どんな映画でも何らかの感興はあるのだ。以前、「図書館戦争」を見た時も「見てはいけなかった」と思いつつも何らかの感想があった。なので今回も書いてみる。
イン&アウトサイダー|土屋恵一郎「怪物ベンサム 快楽主義者の予言した未来」
久しぶりに面白い人物を発見した。ベンサムである。このベンサムという男は功利主義の創始者といわれていて、なおかつパノプティコンという相互監視社会を妄想し、創造した人間である。